← 教科書一覧へ 情報システム戦略の枠組みと情報システムの分類 低頻 約 13 分 情報システム戦略
概要 本ユニットでは、情報システム戦略を立案・最適化する全社的な枠組みであるEAを中核に、整備した情報資産を横断検索するエンタープライズサーチ、そして情報システムを性格で分けるSoR・SoEの対概念を学びます。経営と情報システムをつなぐ全体像を押さえる、戦略分野の基礎です。
用語(4) EA 企業全体の業務と情報システムを体系的に分析・最適化する枠組み。
EA(エンタープライズアーキテクチャ)は、企業全体の業務プロセスと情報システムを統一した視点で整理し、あるべき姿(To-Be)へ最適化していく設計手法です。場当たり的なシステム導入による重複や非効率をなくし、経営戦略と情報システムを一致させることを狙います。
EAは一般に4つの体系で構成されます。業務の体系を表すビジネスアーキテクチャ、扱うデータを表すデータアーキテクチャ、業務を支える適用処理を表すアプリケーションアーキテクチャ、基盤となる技術を表すテクノロジアーキテクチャの4階層です。試験では、この4層の名称と「全体最適を目指す枠組み」である点が問われます。
たとえ 街全体の都市計画のようなもの。家を一軒ずつ勝手に建てるのではなく、道路・水道・区画を全体で設計し、街として無駄なく機能するよう整える発想です。
記憶フック EAといえば企業全体を4階層で最適化する枠組み
エンタープライズサーチ 社内に散在する情報資産を横断的に検索できる企業内検索の仕組み。
エンタープライズサーチは、社内のファイルサーバ、メール、データベース、業務システムなど、形式や保管場所がばらばらな情報を、一つの検索窓からまとめて探し出す仕組みです。「企業内検索」とも呼ばれます。
Web全体を対象とする一般の検索エンジンと違い、対象は自社が保有する情報資産に限られ、アクセス権の管理を伴う点が特徴です。EAなどで整備・蓄積された全社の知識やデータを、必要なときにすぐ活用できるようにする情報活用手段として位置づけられます。試験では「社内情報を横断検索する仕組み」という用語の意味を問う形で出ます。
たとえ 大きな図書館の総合検索端末のようなもの。蔵書・雑誌・資料がどの棚にあっても、一台の端末でまとめて場所を探し出せる便利さに似ています。
記憶フック エンタープライズサーチといえば社内情報を横断検索する企業内検索
SoR 正確な記録・取引処理を担う安定重視の基幹系システム。
SoR(System of Record)は、「記録のシステム」という名のとおり、取引データや顧客情報などを正確に記録・保管することを目的としたシステムです。会計、販売管理、在庫管理といった基幹業務がこれにあたります。
求められるのは速さよりも、データの正確性・整合性・安定稼働です。一度作ると頻繁には変えず、長く安定して使う性格を持ちます。試験では、顧客との接点や柔軟な変化を重視するSoEと対比して問われます。SoR=記録・基幹系で「守り」、SoE=接点・体験で「攻め」、という対の関係で覚えると区別しやすくなります。
たとえ 会社の正式な帳簿や台帳のようなもの。派手さはなくても、一字一句正確に記録し、長く安定して管理し続けることが何より重視される存在です。
記憶フック SoRといえば正確な記録を守る基幹系システム
SoE 顧客との接点や体験を重視し変化に柔軟に対応するシステム。
SoE(System of Engagement)は、「関与(つながり)のシステム」という名のとおり、顧客や利用者との接点を作り、関係を深めることを目的としたシステムです。スマートフォンアプリ、SNS連携、Webサービスなど、利用者と直接やり取りする仕組みが該当します。
求められるのは、市場や顧客の変化にすばやく対応できる柔軟性・スピードです。正確な記録を守るSoRが「守り」の基幹系なのに対し、SoEは新しい体験や顧客満足を生み出す「攻め」の領域にあたります。試験では、この両者がどちらの性格のシステムかを判別させる対比問題として問われます。
たとえ 店頭で接客する販売員のようなもの。お客さまの反応を見ながら声かけや見せ方をその場で柔軟に変え、関係づくりと満足を生み出す役割にあたります。
記憶フック SoEといえば顧客接点を重視し変化に柔軟なシステム
まとめ 要点 EA(エンタープライズアーキテクチャ)は、企業全体の業務と情報システムを統一視点で整理し全体最適を目指す枠組みで、ビジネス・データ・アプリケーション・テクノロジの4階層から成る。 エンタープライズサーチ(企業内検索)は、社内に散在する情報資産を一つの検索窓から横断的に探し出す情報活用の仕組みである。 SoR(System of Record)は正確な記録・取引処理を担う安定重視の基幹系システムで、「守り」の性格を持つ。 SoE(System of Engagement)は顧客との接点・体験を重視し変化に柔軟に対応するシステムで、「攻め」の性格を持つ。 SoRとSoEは情報システムを性格で分類した対概念であり、記録(守り)と関与(攻め)の違いで区別する。 記憶フック一覧 EA: EAといえば企業全体を4階層で最適化する枠組み エンタープライズサーチ: エンタープライズサーチといえば社内情報を横断検索する企業内検索 SoR: SoRといえば正確な記録を守る基幹系システム SoE: SoEといえば顧客接点を重視し変化に柔軟なシステム 関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。