← 教科書一覧へ業務要件定義 — 機能要件・非機能要件と合意
標準約 13 分要件定義
概要
この単元では、現状分析に基づいて「業務に何が必要か」を定める業務要件定義を学びます。システムが備えるべき働きを示す機能要件と、性能や品質などを示す非機能要件の違いを区別し、関係者間で要件を確定させる合意までの流れを理解します。要件定義は開発の土台であり、ITパスポートでも頻出する重要分野です。
用語(4)
業務要件定義
現状分析に基づき、業務上必要な要件を整理して明確に定める作業。
業務要件定義とは、システム化に先立ち「その業務を遂行するために何が必要か」を洗い出して文書にまとめる工程です。利用者や経営層の課題・要望を集め、現状業務(As-Is)と目指す姿(To-Be)を分析して、達成すべき要件を具体化します。
試験では、技術的な実現方法を決める前段階であり、あくまで「業務側の必要事項」を定める点が問われます。機能要件・非機能要件・合意といった後続の作業すべての出発点となる親概念で、ここが曖昧だと開発全体が手戻りになります。
たとえ家を建てる前に「家族が何人で、どんな暮らしをしたいか」を施主に聞き取ってまとめる作業に似ています。間取りや設備を決める前の、暮らしの必要条件を固める段階です。
記憶フック業務要件定義といえば、まず業務に必要なことを洗い出す出発点
機能要件
システムが備えるべき機能、すなわち「何をするか」を定めた要件。
機能要件とは、システムが提供すべき具体的な働きを示す要件です。たとえば「在庫を登録できる」「売上を月次で集計する」「ログインで本人確認する」など、利用者が実現したい処理そのものを指します。
試験では非機能要件との対比で問われます。機能要件は「システムが何をするか(What)」を定めるのに対し、非機能要件は「どの程度・どのように」を定めます。業務でやりたいことを機能の形に落とし込んだものが機能要件、と押さえておくと区別しやすくなります。
たとえレストランで「ハンバーグを焼いて提供する」「会計をする」といった、店が果たすべき仕事そのものに当たります。料理を出すという働き自体が機能要件です。
記憶フック機能要件といえば、システムが何をするか(What)を定める
非機能要件
性能・信頼性・セキュリティなど、機能以外の品質や制約を定めた要件。
非機能要件とは、機能そのものではなく「どの程度・どのように」備えるかを定める要件です。応答速度などの性能、止まりにくさを示す可用性・信頼性、不正アクセスを防ぐセキュリティ、使いやすさ、拡張性などが含まれます。
試験では機能要件との切り分けがよく問われます。「3秒以内に表示する」「24時間稼働する」「同時1000人が利用できる」などは非機能要件です。同じ機能でも品質水準により開発コストが大きく変わるため、定義段階で明確にしておくことが重要だとされます。
たとえレストランで「料理を5分以内に出す」「衛生的で安全」「混雑時もさばける」といった、仕事の質やレベルを決める条件です。何をするかではなく、どのくらいうまくやるかを表します。
記憶フック非機能要件といえば、性能・信頼性・セキュリティなどの品質水準
要件の合意
定義した要件を関係者で確認し、内容を承認して確定させること。
要件の合意とは、整理した機能要件・非機能要件を発注者(利用部門)と開発者の双方で確認し、「これで進める」と承認して確定させる工程です。要件定義書などにまとめ、認識のずれがないかをすり合わせて合意します。
試験では、要件を定義した後の最終ステップであり、ここで合意を得ておくことが後の手戻りや認識相違の防止につながる点が問われます。合意なく開発を進めると、完成後に「望んだものと違う」というトラブルが起きやすくなります。
たとえ家づくりで、施主と工務店が設計図を一緒に確認し「この内容で建てます」とサインして握手する場面に当たります。着工前に双方の認識を一致させる仕上げの段階です。
記憶フック要件の合意といえば、関係者で確認し承認して確定させる最終段階
まとめ
要点
- 業務要件定義は現状分析をもとに「業務に何が必要か」を洗い出す、要件定義の出発点である。
- 機能要件はシステムが『何をするか(What)』を、非機能要件は性能・信頼性・セキュリティなど『どの程度・どのように』を定める。
- 機能要件と非機能要件の切り分けは頻出。具体例(処理内容=機能、3秒以内・24時間稼働=非機能)で判別する。
- 要件の合意は定義後の最終工程で、関係者が承認・確定することで後の手戻りや認識相違を防ぐ。
記憶フック一覧
- 業務要件定義: 業務要件定義といえば、まず業務に必要なことを洗い出す出発点
- 機能要件: 機能要件といえば、システムが何をするか(What)を定める
- 非機能要件: 非機能要件といえば、性能・信頼性・セキュリティなどの品質水準
- 要件の合意: 要件の合意といえば、関係者で確認し承認して確定させる最終段階
関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。