用語(6)
プロジェクトリスクマネジメント
プロジェクトのリスクを特定・分析・対応・監視する一連の管理領域。
プロジェクトリスクマネジメントは、目標達成を脅かす(または後押しする)不確実な事象=リスクを、計画的に洗い出し、影響度や発生確率を分析し、対応策を立てて監視していく管理領域です。リスクには損失をもたらす「脅威」だけでなく、利益をもたらす「好機」も含まれる点に注意します。
試験では、リスクは発生してから慌てて対処するのではなく、事前に特定・評価して備えておくものだという考え方が問われます。コスト・スケジュール・品質などほかの管理領域と連携し、マネージャがステークホルダの利害を踏まえて対応を判断する点も押さえましょう。
たとえ旅行の前に「渋滞しそう」「雨かも」と起こりうる困りごとを書き出し、それぞれに迂回路や傘を用意しておくようなもの。起きてから困らないよう先回りで備えます。
記憶フックプロジェクトリスクマネジメントといえばリスクを特定・分析・対応・監視する管理領域
リスクの対応策
特定したリスクへどう対処するかを定めた対応の総称(回避・軽減・受容・転嫁)。
リスクの対応策とは、分析で洗い出したリスクに対して具体的にどう手を打つかを決めた方針の総称です。代表的には「回避」「軽減」「受容」「転嫁」の4つがあり、リスクの大きさや費用対効果を見て、マネージャが最適な策(または組合せ)を選びます。
試験では、4つの対応策それぞれの意味と違いがよく問われます。すべてのリスクを完全になくすことは現実的でないため、重要度に応じて積極策(回避・軽減)から受動策(受容)、外部移転(転嫁)までを使い分ける、という判断の枠組みである点を理解しておきましょう。
たとえ病気に対する備えの選び方に似ています。原因を断つ(回避)、予防する(軽減)、軽症なら様子見(受容)、保険でカバー(転嫁)と、状況に応じて手を選びます。
記憶フックリスクの対応策といえば回避・軽減・受容・転嫁の4つの基本戦略
回避
リスク要因そのものを取り除き、発生をゼロにする最も積極的な対応策。
回避は、リスクの原因となる要素自体を計画から取り除いてしまい、そのリスクが起こる余地をなくす対応策です。たとえば、技術的に不確実な新方式の採用をやめて実績ある方式に変える、リスクの高い作業範囲を計画から外す、といった手を打ちます。
試験では、4つの対応策の中で最も積極的に「リスクを発生させない」策である点が問われます。発生確率や影響を「下げる」だけの軽減との違いがポイントで、回避は要因の除去によって発生確率を実質ゼロにする、と区別して覚えましょう。
たとえ雨に濡れたくないので、そもそも雨の日には外出しないと決めるようなもの。出かけなければ濡れる可能性自体がなくなります。
記憶フック回避といえばリスク要因を取り除き発生をゼロにする最も積極的な策
軽減
リスクの発生確率や影響の大きさを小さく抑える次善の対応策。
軽減は、リスクを完全になくすのではなく、起こる確率や起きたときの影響をできるだけ小さくする対応策です。たとえば、十分なテストやレビューを増やして障害の確率を下げる、予備の時間や要員を確保して遅延の影響を和らげる、といった手を打ちます。
試験では、要因そのものを除く「回避」との違いが頻出です。軽減はリスクが残ることを前提に、その確率や影響を下げる現実的な策である点が区別のポイントです。回避が難しい場合に多く選ばれる、実務で最もよく使われる対応策でもあります。
たとえ雨の可能性はあるが出かける必要があるので、傘を持ち防水の靴を履いていくようなもの。濡れる確率と濡れる量の両方を小さくします。
記憶フック軽減といえば発生確率や影響を小さく抑える次善の策
受容
リスクをあえて受け入れ、特段の対策を取らない受動的な対応策。
受容は、リスクが発生しても影響が小さい、あるいは対策の費用が見合わないと判断したときに、あえて積極的な対策を取らずにそのリスクを受け入れる対応策です。何もしないわけではなく、発生に備えて予備費を用意しておく場合もあります。
試験では、回避・軽減のような能動的な策との対比で問われます。すべてのリスクに費用をかけて対処するのは非効率なため、影響の小さいリスクは意図的に「受け入れる」という判断もマネジメントの一部である点を押さえましょう。放置とは異なり、評価の上での選択である点が重要です。
たとえ小雨くらいなら傘も差さずそのまま歩く、と割り切るようなもの。少し濡れる程度なら、わざわざ対策する手間のほうが大きいと判断します。
記憶フック受容といえばリスクをあえて受け入れ対策を取らない受動的な策
転嫁
保険や外部委託でリスクの責任や損失を第三者に移す対応策。
転嫁は、リスクが現実になったときの損失や対応責任を、保険・契約・外部委託などによって自組織の外の第三者に移す対応策です。たとえば、損害保険に加入する、専門業者へ作業を委託する、契約で責任分担を取り決める、といった手を打ちます。
試験では、リスク自体が消えるわけではなく「他者に移す」点が回避との違いとして問われます。代表例として保険が挙げられることが多く、対価(保険料や委託費)を払って自組織の負担を外部へ移す、という構図を覚えておきましょう。
たとえ万一の雨で荷物が濡れる損害に備え、保険に入っておくようなもの。濡れること自体は防げませんが、損失は保険会社が肩代わりしてくれます。
記憶フック転嫁といえば保険や外部委託でリスクを第三者に移す策