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母集団と標本抽出

頻出約 23 分業務分析・データ利活用

概要

本ユニットでは、調査対象全体である母集団から一部を選ぶ標本抽出の考え方を学びます。全数調査と標本調査の違い、国勢調査やアンケート調査といった具体例、そして単純無作為抽出・層別抽出・多段抽出という代表的な抽出法を押さえます。データ利活用の頻出分野で、次に学ぶ仮説検定の前提にもなる重要単元です。

用語8

母集団

調査・分析の対象とする要素全体の集まりのこと。

母集団とは、調べたい対象すべてをひとまとめにした集合のことです。たとえば「日本の有権者の意識」を知りたいなら、有権者全員が母集団になります。 母集団は標本抽出の出発点となる最上位の概念で、ここから一部を取り出したものが標本(サンプル)です。試験では、母集団(全体)と標本(その一部)の関係を取り違えないことがポイントで、「全体=母集団」「一部=標本」と対で覚えておくと混乱しません。

たとえ大きな鍋いっぱいに作ったスープ全体が母集団。味見のために小皿に取る一さじが標本にあたります。鍋全体の味を知りたいのが目的です。

記憶フック母集団といえば調査対象全体の集まり

標本抽出

母集団から調査対象となる一部(標本)を取り出す手続きのこと。

標本抽出(サンプリング)とは、母集団全体ではなく、その一部を標本として選び出す行為です。全体を調べる手間や費用を抑えつつ、母集団の傾向を推測するために行います。 抽出した標本から母集団の性質を見積もるため、標本が母集団全体をうまく代表していることが大切です。試験では、標本に偏りがあると結論も偏るという点や、母集団→標本という流れ(母集団の一部が標本)が問われます。後で学ぶ抽出法はすべて、この「どう一部を選ぶか」の工夫です。

たとえスープの味見で小皿に一さじ取るのが標本抽出。よくかき混ぜてから取らないと、上澄みだけ取って「薄い」と誤解してしまいます。

記憶フック標本抽出といえば母集団から一部を取り出すこと

抽出

推測

母集団(全体)

標本(一部)

国勢調査

国内の全世帯・全人口を対象に行う全数調査の代表例。

国勢調査は、日本に住むすべての人と世帯を対象として国が実施する調査で、5年ごとに行われます。人口や世帯の構成などを把握する基礎統計です。 対象を一部に絞らず全員を調べるため、全数調査(悉皆調査)の代表例として登場します。試験では、一部を抜き出すアンケート調査(標本調査)と対比され、「全員を調べる=全数調査=国勢調査」という結び付きで問われます。全数だからこそ正確だが、費用も手間も大きいという特徴も押さえましょう。

たとえクラス全員に一人残らず出席を取って人数を数えるようなもの。誰も飛ばさず全員を確認するので正確ですが、時間と手間がかかります。

記憶フック国勢調査といえば全員を調べる全数調査の代表例

アンケート調査

対象者に質問へ回答してもらい情報を集める調査方法。

アンケート調査は、質問項目を用意して対象者に回答してもらい、意見や実態を集める調査です。多くの場合、母集団全体ではなく一部の人を選んで実施する標本調査の形を取ります。 全員ではなく標本から情報を得るため、費用や時間を抑えられる一方、回答者の選び方に偏りがあると結果が母集団全体を正しく表さなくなります。試験では、全員を調べる国勢調査(全数調査)との対比や、標本調査の身近な例として問われます。

たとえ学園祭の満足度を、来場者全員ではなく出口で声をかけた一部の人に聞いて回るようなもの。全員に聞かずとも、おおよその傾向をつかめます。

記憶フックアンケート調査といえば一部に質問して情報を集める標本調査の例

全数調査

母集団に含まれるすべての要素を漏れなく調べる調査方式。

全数調査は、母集団の要素を一つも飛ばさず全部調べる方法で、悉皆(しっかい)調査とも呼ばれます。国勢調査がその代表例です。 全員を調べるため結果は正確ですが、対象が多いほど費用・時間・労力が大きくなります。これに対し一部だけを調べるのが標本調査で、両者は対(つい)の概念です。試験では「全数調査=全部」「標本調査=一部」という違いと、それぞれの長所・短所(全数は正確だが高コスト、標本は省力だが誤差がある)が問われます。

たとえ町内の全世帯を一軒ずつ訪ねて人数を数えるのが全数調査。漏れはありませんが、家が多いほど何日もかかってしまいます。

記憶フック全数調査といえば母集団を全部調べる方式

単純無作為抽出

母集団の各要素を等しい確率で偶然に選ぶ最も基本的な抽出法。

単純無作為抽出は、母集団の一つひとつが同じ確率で選ばれるように、くじ引きや乱数を使って偶然に標本を選ぶ方法です。最も基本的な無作為抽出(ランダムサンプリング)です。 意図的な選び方をしないため偏りが入りにくいのが長所で、後に学ぶ層別抽出や多段抽出の出発点になります。試験では、調査者の都合で選ぶのではなく「等確率・偶然に選ぶ」点が無作為のポイントとして問われます。母集団が大きいと番号付けや管理が大変という短所も押さえましょう。

たとえ全員に番号札を配り、よくかき混ぜた箱から目をつぶって札を引いて当選者を決める抽選のようなもの。誰にも同じ当たる確率があります。

記憶フック単純無作為抽出といえば全員を等確率で偶然に選ぶ

層別抽出

母集団を性質ごとの層に分け各層から無作為抽出する方法。

層別抽出は、母集団を年代・性別・地域などの似た性質を持つグループ(層)に分け、各層から無作為に標本を選ぶ方法です。各層の構成比に応じて標本数を割り振ると、母集団の偏りを反映した代表性の高い標本が得られます。 単純無作為抽出だと偶然どこかの層に偏ることがありますが、層別にすればその偏りを防げます。試験では、母集団をあらかじめ層に分けてから各層で抽出する手順と、その目的(各層を確実に標本へ含め代表性を高める)が問われます。

たとえ全校から代表を選ぶとき、まず学年ごとに分け、1年・2年・3年それぞれからくじ引きで選ぶようなもの。どの学年も必ず代表に含まれます。

記憶フック層別抽出といえば層に分けて各層から無作為に選ぶ

母集団

層1

層2

層3

各層から無作為抽出

標本

多段抽出

抽出を複数の段階に分けて段階的に標本を絞り込む方法。

多段抽出は、母集団を大きな集団から順に小さな集団へと、複数の段階を踏んで抽出していく方法です。たとえば全国から都道府県を選び、選んだ県から市町村を選び、さらにその中から個人を選ぶ、というように段階的に対象を絞ります。 母集団全体の名簿がなくても調査できる、現地調査の範囲を狭められるといった利点があり、大規模調査で使われます。試験では、一度に選ぶ単純無作為抽出と違い「段階を分けて選ぶ」点や、層別抽出との手順の違いが問われます。

たとえ全国大会の出場者を、まず地区を選び、その地区から学校を選び、最後にその学校から選手を選ぶように、範囲を少しずつ絞っていくイメージです。

記憶フック多段抽出といえば段階を分けて標本を絞り込む

まとめ

要点

  • 母集団は調査対象全体、標本はそこから取り出した一部で、標本抽出は母集団から標本を選ぶ手続きである。
  • 全数調査は全員を調べるため正確だが高コスト(代表例が国勢調査)、標本調査は一部だけを調べ省力だが誤差を伴う(例がアンケート調査)。
  • 単純無作為抽出は各要素を等しい確率で偶然に選ぶ最も基本的な方法で、偏りが入りにくい。
  • 層別抽出は母集団を層に分けて各層から抽出し、代表性を高める。多段抽出は段階を分けて対象を絞り込み、大規模調査で使われる。
  • 標本に偏りがあると母集団を正しく推測できないため、抽出法は『どう偏りなく一部を選ぶか』の工夫である。

記憶フック一覧

  • 母集団: 母集団といえば調査対象全体の集まり
  • 標本抽出: 標本抽出といえば母集団から一部を取り出すこと
  • 国勢調査: 国勢調査といえば全員を調べる全数調査の代表例
  • アンケート調査: アンケート調査といえば一部に質問して情報を集める標本調査の例
  • 全数調査: 全数調査といえば母集団を全部調べる方式
  • 単純無作為抽出: 単純無作為抽出といえば全員を等確率で偶然に選ぶ
  • 層別抽出: 層別抽出といえば層に分けて各層から無作為に選ぶ
  • 多段抽出: 多段抽出といえば段階を分けて標本を絞り込む

関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。