← 教科書一覧へ仮説検定の枠組み
頻出約 13 分業務分析・データ利活用
概要
標本から得たデータをもとに、母集団についての仮説が正しいかを統計的に判断する「仮説検定」の枠組みを学ぶ単元です。判断の基準となる有意水準と、検定で避けられない第1種・第2種の2種類の誤りを扱います。データ利活用が頻出の本分野で、データに基づく意思決定の考え方を理解する基礎となる重要な単元です。
用語(4)
仮説検定
標本データをもとに、母集団に関する仮説が正しいかを統計的に判断する手法。
仮説検定は、調べたい母集団全体を直接調べられないとき、抽出した標本のデータを使って、母集団についての仮説が成り立つかどうかを確率的に判断する手法です。
手順は、まず「差がない・効果がない」とする帰無仮説と、それに反する対立仮説を立てます。次に標本の結果が、帰無仮説が正しいと仮定したときに偶然起こりにくいか(確率が小さいか)を調べ、起こりにくければ帰無仮説を棄却し対立仮説を採用します。試験では、標本から母集団を推測する点、帰無仮説を棄却するか否かで判断する流れが問われます。仮説を『証明』するのではなく、確率的に『棄却できるか』を判断する点が重要です。
たとえ裁判で「被告は無罪」とまず仮定し、証拠がそれを覆すほど強ければ有罪と判断するのに似ています。標本という証拠で、最初の仮定を退けられるかを見ます。
記憶フック仮説検定といえば標本から母集団の仮説を統計的に判断
有意水準
帰無仮説を棄却するかどうかの基準となる確率。通常5%や1%を用いる。
有意水準は、仮説検定で帰無仮説を棄却するかどうかを判断する基準となる確率で、検定の前にあらかじめ決めておきます。一般に5%(0.05)や1%(0.01)が使われます。
標本の結果が起こる確率が有意水準より小さければ「偶然とは考えにくい」として帰無仮説を棄却します。試験では、有意水準が判断の『ものさし』であること、また有意水準を小さくするほど帰無仮説を棄却しにくくなる(慎重になる)という関係が問われます。有意水準は、後述する第1種の誤りを犯す確率に対応する点も押さえましょう。
たとえ「これ以上珍しいことが起きたら偶然ではないと認める」という合格ラインのようなもの。ラインを5%と厳しく引くか、もっと厳しく1%にするかをあらかじめ決めます。
記憶フック有意水準といえば帰無仮説を棄却する判断基準の確率(5%や1%)
第1種の誤り
本当は正しい帰無仮説を、誤って棄却してしまう誤り。
第1種の誤り(あわてものの誤り)は、実際には正しい帰無仮説を、誤って「正しくない」と判断して棄却してしまう誤りです。例えば、本当は効果がない薬を「効果がある」と誤って結論づける場合がこれにあたります。
この誤りを犯す確率は、設定した有意水準に一致します。つまり有意水準を5%にすると、第1種の誤りが起こる確率は5%です。試験では、第1種の誤り=正しい帰無仮説を棄却(本当はないのに『ある』と判断)、有意水準と対応するという点が、第2種の誤りとの対比で問われます。
たとえ火事でもないのに火災報知器が鳴ってしまう「誤報」のようなもの。何も問題ない(正しい)状態を、誤って「異常あり」と判断してしまう失敗です。
記憶フック第1種の誤りといえば正しい帰無仮説を誤って棄却(あわてもの)
第2種の誤り
本当は誤っている帰無仮説を、棄却せずに見逃してしまう誤り。
第2種の誤り(ぼんやりものの誤り)は、実際には誤っている帰無仮説を、誤って「正しい」と判断して棄却せず見逃してしまう誤りです。例えば、本当は効果がある薬を「効果がない」と見逃してしまう場合がこれにあたります。
第1種の誤りと第2種の誤りはトレードオフの関係にあり、有意水準を小さくして第1種の誤りを減らすと、第2種の誤りは増えやすくなります。試験では、第2種の誤り=誤った帰無仮説の見逃し(本当はあるのに『ない』と判断)であること、第1種の誤りとの違いと両者が対の概念であることが問われます。
たとえ本当は火事が起きているのに、火災報知器が鳴らず気づかない「見逃し」のようなもの。異常がある状態を、誤って「問題なし」と判断してしまう失敗です。
記憶フック第2種の誤りといえば誤った帰無仮説を見逃す(ぼんやりもの)
まとめ
要点
- 仮説検定は、抽出した標本のデータから母集団についての仮説(帰無仮説)を統計的に判断する手法で、確率的に棄却できるかを見る。
- 有意水準は帰無仮説を棄却するかの基準となる確率(通常5%や1%)で、検定の前に決めておく。小さくするほど棄却に慎重になる。
- 第1種の誤りは正しい帰無仮説を誤って棄却する誤り(あわてもの)で、その確率は有意水準に一致する。
- 第2種の誤りは誤った帰無仮説を棄却せず見逃す誤り(ぼんやりもの)で、第1種とはトレードオフの関係にある。
- 4語(仮説検定→有意水準→第1種・第2種の誤り)は一本の検定理論として不可分で、誤りの2種類の区別と有意水準との対応が頻出。
記憶フック一覧
- 仮説検定: 仮説検定といえば標本から母集団の仮説を統計的に判断
- 有意水準: 有意水準といえば帰無仮説を棄却する判断基準の確率(5%や1%)
- 第1種の誤り: 第1種の誤りといえば正しい帰無仮説を誤って棄却(あわてもの)
- 第2種の誤り: 第2種の誤りといえば誤った帰無仮説を見逃す(ぼんやりもの)
関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。