← 教科書一覧へ企業倫理と組織の行動規範
標準約 16 分その他の法律・ガイドライン・情報倫理
概要
本ユニットでは、企業や組織が法令遵守を土台に守るべき規範を学ぶ。コンプライアンスを出発点に、ビジネスと人権・ハラスメント防止・先端技術の倫理(ELSI)・SNS運用方針までを扱う。ITパスポートでは、法令を超えて社会的責任や倫理をどう自律的に守るかが繰り返し問われる重要分野である。
用語(5)
コンプライアンス
法令や社会規範・企業倫理を守り、公正に活動すること。法令遵守と訳される。
コンプライアンスとは、企業や組織が法律やルールを守って活動することを指し、日本語では『法令遵守』と訳されます。ただし守る対象は法律だけにとどまらず、社内規程・倫理・社会的な常識まで含めて広く捉えるのが現在の考え方です。
試験では、コンプライアンスが『法令遵守』を中心に倫理や社会規範まで含む点が問われます。違反は罰則だけでなく、企業の信用失墜や顧客離れといった社会的制裁につながるため、組織は内部統制やコーポレートガバナンスと一体で取り組みます。本ユニットの他の規範(人権・ハラスメント防止など)も、すべてこのコンプライアンスの一部だと理解しましょう。
たとえスポーツで競技規則(法律)だけでなく、フェアプレー精神(倫理)まで守る選手のようなもの。ルールに書いていなくても、ずるい行為は信頼を失う。
記憶フックコンプライアンスといえば法令遵守と企業倫理を守ること
ビジネスと人権
企業が事業活動を通じて人権を尊重し、侵害を防ぐべきとする考え方。
『ビジネスと人権』とは、企業が自社だけでなく取引先や調達先まで含めた事業活動全体で、人々の権利を尊重し人権侵害を起こさないようにする責任を指す考え方です。国連の『ビジネスと人権に関する指導原則』が国際的な土台になっています。
試験では、企業の社会的責任として人権尊重が求められる点を押さえましょう。具体例には、サプライチェーンでの児童労働や強制労働の防止、差別の排除などがあります。コンプライアンスが守るべき代表的な価値の一つが人権であり、利益追求と並んで企業が配慮すべきものだと理解します。
たとえ料理店が自店の従業員だけでなく、仕入れ先の農家が不当に働かされていないかまで気を配るようなもの。お皿の向こう側の人まで尊重する。
記憶フックビジネスと人権といえば事業活動全体で人権を尊重する責任
ハラスメント
立場や言動により相手に不利益や不快感を与える嫌がらせ行為。
ハラスメントとは、職場などで相手の人格や尊厳を傷つける嫌がらせ行為のことです。代表例に、地位を利用するパワーハラスメント、性的な言動によるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産に関するマタニティハラスメントなどがあります。
試験では、ハラスメントが人権侵害の身近で具体的な問題であり、企業に防止の責任がある点が問われます。受け手が不快に感じたかどうかが重視され、行為者に悪意がなくても成立し得る点に注意します。企業は相談窓口の設置や研修など、防止策を講じる義務を負っています。
たとえ上司が部下に『指導』のつもりで言った言葉でも、相手が深く傷つけば嫌がらせになり得る。受け手がどう感じたかが物差しになる。
記憶フックハラスメントといえば立場や言動による職場の嫌がらせ
ELSI
新技術がもたらす倫理的・法的・社会的課題を指す枠組み。
ELSI(エルシー)は Ethical(倫理的)・Legal(法的)・Social(社会的)Issues の頭文字で、AI や遺伝子技術といった先端技術が社会に与える課題を、この3つの観点から事前に検討する枠組みです。
試験では、ELSI が『倫理的・法的・社会的な課題』をまとめて捉える言葉である点を押さえましょう。技術は便利さと同時に、差別やプライバシー侵害などの新たな問題を生むことがあります。法律だけでは追いつかない領域を、倫理や社会への影響まで含めて考える姿勢が求められる、という文脈で理解します。
たとえ新しい乗り物を世に出す前に、性能だけでなく『安全か(倫理)』『法律は大丈夫か』『街に迷惑をかけないか(社会)』の3方向から点検するようなもの。
記憶フックELSIといえば倫理的・法的・社会的課題の3観点
ソーシャルメディアポリシー
組織がSNS利用時の心得やルールを定めた行動指針・方針。
ソーシャルメディアポリシーとは、企業や組織が従業員のSNS(ソーシャルメディア)利用にあたって守るべき心得やルールを文書化した方針です。会社の公式アカウント運用だけでなく、従業員個人の投稿に関する注意も対象になります。
試験では、これが倫理・規範を組織が具体的なルールとして文書化した実装例である点を押さえましょう。機密情報の漏えい防止、誹謗中傷の禁止、炎上を招かない発信といった内容を定め、事故を未然に防ぎます。総論であるコンプライアンスを、SNSという身近な場面に落とし込んだ規範だと理解します。
たとえ会社が配る『SNSを使うときの心得集』のようなもの。何を書いてよく、何を書いてはいけないかをあらかじめ決めて、うっかり炎上を防ぐ。
記憶フックソーシャルメディアポリシーといえばSNS利用の組織ルール
まとめ
要点
- 本ユニットは法令遵守を土台に、企業と組織が守るべき倫理・規範の総論を学ぶ。
- コンプライアンスは法令遵守を中心に社内規程・倫理・社会規範まで含み、他の規範すべての上位概念となる。
- ビジネスと人権、ハラスメント防止は、企業が守るべき代表的な人権尊重の具体例である。
- ELSIは先端技術がもたらす倫理的・法的・社会的の3観点の課題を捉える枠組みである。
- ソーシャルメディアポリシーは倫理・規範を組織がSNS運用ルールとして文書化した実装例である。
記憶フック一覧
- コンプライアンス: コンプライアンスといえば法令遵守と企業倫理を守ること
- ビジネスと人権: ビジネスと人権といえば事業活動全体で人権を尊重する責任
- ハラスメント: ハラスメントといえば立場や言動による職場の嫌がらせ
- ELSI: ELSIといえば倫理的・法的・社会的課題の3観点
- ソーシャルメディアポリシー: ソーシャルメディアポリシーといえばSNS利用の組織ルール
関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。