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競争の経済性と市場の概念

頻出約 21 分経営戦略手法

概要

本ユニットでは、戦略の効果や市場の動きを説明する周辺概念を学びます。生産量とコストの関係(規模の経済・経験曲線)、市場の変化(コモディティ化・カニバリゼーション)、改善・運用の手法(ベンチマーキング・ロジスティクス)、近年の投資潮流(ESG投資)まで、経営戦略を支える幅広い用語を押さえます。用語の意味の取り違えが試験で狙われます。

用語7

規模の経済

生産量を増やすほど製品1個あたりのコストが下がる効果。

規模の経済とは、生産・販売の量を増やすことで、製品1個あたりのコスト(単位コスト)が下がる効果のことです。工場や設備などの固定費が、多くの製品に分散されるために起こります。 たくさん作るほど安く作れるため、大量生産は価格競争力の源になります。試験では、累積生産量によってコストが下がる「経験曲線(習熟効果)」との違いがよく問われます。規模の経済は『今どれだけ多く作るか(量)』、経験曲線は『これまで合計どれだけ作ってきたか(積み重ね・慣れ)』が効くと区別しましょう。

たとえ1個のケーキを焼くのも100個焼くのもオーブンの電気代はほぼ同じ。たくさん焼けば、1個あたりに割り当たる電気代や道具代がぐっと小さくなるのと同じです。

記憶フック規模の経済といえば、たくさん作るほど1個あたりが安くなる

生産量が増える

固定費が多数の製品に分散

製品1個あたりのコストが下がる

価格競争力が高まる

経験曲線

累積生産量が増えるほど単位コストが一定割合で下がる経験則。

経験曲線とは、これまでに作った累積の生産量が倍になるごとに、製品1個あたりのコストが一定の割合で下がっていくという経験則です。作業に慣れる、工程の無駄が減る、改善が進むといった「習熟効果」によって起こります。 ポイントは『過去からの積み重ね(累積量)』が効く点です。試験では規模の経済と混同しやすいので注意します。規模の経済が『一度に大量に作ること(その時点の量)』で安くなるのに対し、経験曲線は『作り続けて経験を積むこと(累積量)』で安くなる、という違いを押さえましょう。

たとえ新しい料理も、初めは時間がかかり食材も無駄にしますが、何十回と作るうちに手早く無駄なく作れるようになります。作った総回数が増えるほど上手く安くなるイメージです。

記憶フック経験曲線といえば、累積生産量が倍になるほどコストが下がる

コモディティ化

製品の差別化が失われ、価格だけで選ばれる状態になること。

コモディティ化とは、各社の製品の性能や品質に大きな差がなくなり、消費者がどれを選んでも同じだと感じるようになる現象です。こうなると差別化が効かず、最後は価格の安さで選ばれる価格競争に陥ります。 技術が成熟し、機能が横並びになった市場で起こりやすいのが特徴です。試験では、差別化が失われ価格競争・利益低下につながる市場動態として問われます。これを避けるため、企業はブランド化や新たな付加価値で差別化を図ろうとします。

たとえペットボトルの水やコピー用紙のように、どのメーカーのものでも中身はほぼ同じで、結局は一番安いものを選んでしまう状態と同じです。

記憶フックコモディティ化といえば、差別化が消えて価格競争になる

カニバリゼーション

自社の新製品が自社の既存製品の売上を奪い合う現象。

カニバリゼーション(共食い)とは、自社が出した新製品や新店舗が、同じ自社の既存製品・既存店舗の客や売上を奪ってしまう現象です。市場全体を広げられず、社内で取り合いになっている状態を指します。 他社との競争ではなく『自社製品同士』が食い合う点がポイントです。試験では、似た製品をむやみに増やすと起こりうる問題として問われます。新製品が既存品の売上を侵食していないかを見極めることが、製品ラインの管理で重要になります。

たとえ同じチェーンの店を近所に2軒出したら、新しい店にお客が流れて元の店の売上が減っただけ、というように、身内同士でお客を奪い合ってしまう状況です。

記憶フックカニバリゼーションといえば、自社製品同士の売上の共食い

ベンチマーキング

優れた他社の事例を基準に比較・分析し自社の改善に活かす手法。

ベンチマーキングとは、業界の優良企業やトップ企業の優れた取り組み(ベストプラクティス)を基準(ベンチマーク)として、自社のやり方や指標と比較し、その差から改善のヒントを得る手法です。 「自社だけで考える」のではなく「優れた手本と比べて学ぶ」点が特徴です。試験では、他社の優良事例と比較して改善する経営手法として問われます。比較対象は同業他社に限らず、業種を超えて優れた事例を取り入れる場合もあります。

たとえ成績上位の友人のノートの取り方や勉強法を見せてもらい、自分のやり方と比べて良い点を取り入れて成績を上げるようなものです。

記憶フックベンチマーキングといえば、優良他社と比べて改善する

ロジスティクス

調達から配送までの物流を全体最適の視点で管理する考え方。

ロジスティクスとは、原材料の調達から生産、在庫、保管、配送、消費者の手元に届くまでの物の流れを、全体として最も効率よくなるよう計画・管理する考え方です。単なる「運ぶ(輸送)」だけでなく、在庫や調達まで含めて最適化する点が特徴です。 適切な量を、適切な場所へ、適切なタイミングで届けることでコスト削減と顧客満足の両立を目指します。試験では、物流を一連の流れとして全体最適化する管理活動として問われます。

たとえ宅配ピザ店が、材料の仕入れから店内の在庫、配達ルートまでをまとめて段取りし、冷めないうちに無駄なくお客へ届ける一連の流れを管理するようなものです。

記憶フックロジスティクスといえば、調達から配送までの物流の全体最適

ESG投資

環境・社会・企業統治への配慮を重視して投資先を選ぶ手法。

ESG投資とは、企業の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)への取り組みを評価して投資先を選ぶ考え方です。Eは環境保護、Sは人権・労働・地域への配慮、Gは公正で透明な経営の仕組みを指します。 短期の利益だけでなく、持続可能で長期的に成長できる企業を重視する点が特徴です。試験では、ESGの3つの頭文字がそれぞれ何を表すかが問われやすいので、環境・社会・企業統治の対応を確実に覚えておきましょう。SDGsとともに近年の重要キーワードです。

たとえ就職先を選ぶとき、給料だけでなく「環境に優しいか」「働く人を大切にするか」「経営が誠実か」も見て決めるようなものです。長く付き合える健全さを重視します。

記憶フックESG投資といえば、環境・社会・企業統治で投資先を選ぶ

ESG投資

E:環境

S:社会

G:企業統治

持続可能で長期的に成長する企業を選ぶ

まとめ

要点

  • 規模の経済は『その時点の生産量(量)』で、経験曲線は『累積生産量(積み重ね・習熟)』で単位コストが下がる点が違い。
  • コモディティ化は差別化が失われ価格競争に陥る市場動態、カニバリゼーションは自社製品同士が売上を奪い合う現象。
  • ベンチマーキングは優良他社の事例と比較して自社を改善する手法。
  • ロジスティクスは調達から配送までの物の流れを全体最適の視点で管理する考え方。
  • ESG投資は環境(E)・社会(S)・企業統治(G)への配慮を重視して投資先を選ぶ近年の投資潮流。

記憶フック一覧

  • 規模の経済: 規模の経済といえば、たくさん作るほど1個あたりが安くなる
  • 経験曲線: 経験曲線といえば、累積生産量が倍になるほどコストが下がる
  • コモディティ化: コモディティ化といえば、差別化が消えて価格競争になる
  • カニバリゼーション: カニバリゼーションといえば、自社製品同士の売上の共食い
  • ベンチマーキング: ベンチマーキングといえば、優良他社と比べて改善する
  • ロジスティクス: ロジスティクスといえば、調達から配送までの物流の全体最適
  • ESG投資: ESG投資といえば、環境・社会・企業統治で投資先を選ぶ

関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。