用語(6) MOT 技術を経営資源と捉え、事業の競争力強化につなげる経営手法。
MOT(Management of Technology、技術経営)は、企業が持つ技術を単なる開発の成果ではなく「経営資源」として位置づけ、その活用を通じて事業の成長や競争力強化を目指す考え方です。
技術をどこへ投資し、どう育て、どう収益に結びつけるかを経営的に管理する点が特徴で、技術ポートフォリオ・技術予測・特許戦略などはいずれもMOTの具体的な手段にあたります。試験では「技術を経営に活かすマネジメント」という上位概念であること、研究開発の成果を事業価値へ橋渡しする視点であることが問われます。
たとえ 腕の良い職人(技術)を抱える店が、その腕をどの商品に活かし、どう売り、どう守るかを店全体の経営目線で采配するようなものです。
記憶フック MOTといえば技術を経営資源として活かすマネジメント
技術ポートフォリオ 保有・開発技術を複数の軸で評価し、資源配分を判断する手法。
技術ポートフォリオは、企業が持つ技術や開発テーマを「技術の魅力度」と「自社の技術力(競争力)」などの軸でマップ上に整理し、どこに資源を投じ、どれを撤退・維持するかを判断するための手法です。
技術を可視化して投資の優先順位を決める点が要点で、製品の市場ポジションを見るPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)の技術版というイメージです。試験では、限られた経営資源を有望な技術へ重点配分するための分析ツールであること、複数の評価軸で技術を位置づける点が問われます。
たとえ 畑のどの作物に肥料と人手を多く割くかを、「育てやすさ」と「売れ筋度」の表に並べて決めるようなもの。有望なものへ集中投資します。
記憶フック 技術ポートフォリオといえば技術を軸で評価し資源配分を決める手法
技術予測手法 将来の技術動向を予測し、戦略立案の判断材料を得る手法の総称。
技術予測手法は、これから技術がどう進歩し、どんな技術が重要になるかを見通すための方法の総称です。代表例に、専門家へのアンケートを複数回繰り返して意見を収束させるデルファイ法があります。
将来の技術トレンドを読むことで、どの技術へ投資すべきか、ポートフォリオをどう組むかといった戦略判断の材料になります。試験では、デルファイ法が「専門家の意見を繰り返し集約して将来を予測する手法」であることが頻出で、技術戦略を立てる前提として将来予測が欠かせない点が問われます。
たとえ 天気予報のように、複数の専門家の見立てをすり合わせて「数年後はこの技術が伸びる」という見通しを立て、先回りで準備する作業にあたります。
記憶フック 技術予測手法といえばデルファイ法で将来の技術動向を読む
特許戦略 発明を特許で保護・活用し、事業の優位性を高める戦略。
特許戦略は、自社の技術成果を特許として権利化し、競合の模倣を防いだり、ライセンス供与で収益を得たりして事業を有利に進める戦略です。
技術を「守る」だけでなく「攻めの資産」として使う点が要点で、クロスライセンス(互いの特許を使い合う契約)やパテントプール(複数企業の特許をまとめて利用しやすくする仕組み)なども含まれます。試験では、特許が技術を保護する知的財産権の一つであること、権利化と活用の両面で競争力につながることが問われます。技術ポートフォリオや予測で生んだ成果を保護する締めの戦略です。
たとえ 考案した秘伝のレシピを公的に登録して他店にまねさせず、使いたい店からは使用料を取る、という攻守両面の権利活用にあたります。
記憶フック 特許戦略といえば技術を特許で守り収益にも活かす戦略
プロセスイノベーション 製造・業務の工程を革新し、効率や品質を高める技術革新。
プロセスイノベーションは、製品そのものではなく、それを作る・提供する「工程(プロセス)」を革新することです。生産工程の自動化や製造方法の改良によって、コスト削減・生産性向上・品質改善を実現します。
イノベーションの基本2類型の一つで、プロダクトイノベーションと対をなします。試験では、「製品の革新ではなく作り方・業務手順の革新」である点が頻出で、生産ラインの効率化や工程改善の事例がプロセスイノベーションにあたると判断できることがポイントです。
たとえ 同じパンを売る店が、こね方や窯の使い方を工夫して、より速く安く均一に焼けるようにすること。商品ではなく作り方を新しくする革新です。
記憶フック プロセスイノベーションといえば作り方・工程の革新
プロダクトイノベーション 新しい製品・サービスそのものを生み出す技術革新。
プロダクトイノベーションは、これまでにない新しい製品やサービスを生み出す、あるいは既存製品を大きく刷新する革新です。新機能の搭載や全く新しい商品の開発などが該当します。
プロセスイノベーション(作り方の革新)と対をなす基本2類型の一つで、こちらは「成果物そのもの」の革新です。試験では両者の区別が頻出で、『プロダクト=製品の革新』『プロセス=工程の革新』とセットで覚えることが重要です。この2類型を起点に、続くユニットでイノベーション理論を学んでいきます。
たとえ パン屋が、これまで誰も売っていなかった新食感のパンを新発売すること。作り方ではなく、売る商品そのものを新しくする革新にあたります。
記憶フック プロダクトイノベーションといえば製品・サービスそのものの革新