教科書一覧へ

設計・開発を支える工学技術

標準約 11 分エンジニアリングシステム

概要

本ユニットでは、製品が量産に入る前の設計・開発局面を支える代表的な工学技術として、コンカレントエンジニアリング・シミュレーション・センシング技術の3つを学びます。エンジニアリングシステムの中でも、開発期間の短縮や品質向上に直結する頻出分野です。

用語3

コンカレントエンジニアリング

設計・製造など複数工程を並行して進め、開発期間を短縮する手法。

コンカレントエンジニアリングは、製品開発で本来は順番に行う設計・試作・製造・販売準備などの工程を、できるだけ並行して進める方法論です。「コンカレント(concurrent)=並行・同時」の名のとおり、関係部門が早い段階から情報を共有し、後工程の知見を設計に前倒しで反映させます。 ねらいは、開発期間(リードタイム)の短縮と、後戻り(手戻り)による品質問題・コスト増の削減です。試験では、工程を順番に行う従来型(直列型)と対比され、並行化によって開発期間を短縮する点が問われます。設計が終わってから製造を考えるのではなく、設計と並行して製造性も検討するイメージを押さえましょう。

たとえ料理で、メインを煮込みながら同時に副菜と盛り付け皿を準備しておくようなもの。一品ずつ順番に作るより、全体が早く食卓に並びます。

記憶フックコンカレントエンジニアリングといえば設計・製造を並行化して開発期間を短縮

従来型:工程を順番に実施

設計

試作

製造

並行型:複数工程を同時進行

設計・試作・製造を並行

開発期間を短縮

シミュレーション

実物を作らず、模型やモデルで現象や挙動を模擬的に再現・検証する手法。

シミュレーションは、実際の製品や現象を作らずに、コンピュータ上のモデルなどを使って挙動を模擬的に再現し、結果を確認する技術です。設計段階で「実物を作る前に」性能や安全性を検証できるため、試作の回数やコストを抑えられます。 例として、自動車の衝突解析、建物の耐震解析、回路や流体の挙動予測などがあります。試験では、実物・実機を使わずに検証できる点、試作コストや開発期間を削減できる点が問われます。コンカレントエンジニアリングと組み合わせ、設計と並行して早期に検証を回す手段としても理解しておきましょう。

たとえ本番のテスト前に、過去問で予行演習して弱点を見つけるようなもの。実際に受験(製造)する前に、結果をある程度予測して備えられます。

記憶フックシミュレーションといえば実物を作らずモデルで挙動を模擬検証

センシング技術

センサで温度・圧力・光などの物理量を計測しデータ化する基盤技術。

センシング技術は、センサを使って温度・圧力・光・加速度・位置などの現実世界の物理量を計測し、コンピュータが扱えるデータに変換する基盤技術です。計測した値は、制御やシミュレーション、IoT などの入力源として使われます。 身近な例には、スマートフォンの加速度センサ、自動運転車のカメラやレーダ、工場設備の温度・振動センサなどがあります。試験では、現実の物理量をデータ化する「入口」の技術である点、IoT で多数のセンサからデータを集める基盤として位置づけられる点が問われます。データを「集めて読み取る」技術であり、集めたデータを「分析・活用する」工程の前段にあることを押さえましょう。

たとえ人間の五感(目・耳・皮膚)にあたるもの。光や温度といった外界の刺激を感じ取り、脳(コンピュータ)が判断できる信号に変えて伝えます。

記憶フックセンシング技術といえばセンサで物理量を計測しデータ化

まとめ

要点

  • コンカレントエンジニアリングは設計・試作・製造などの工程を並行化し、開発期間(リードタイム)の短縮と手戻り削減を狙う手法。直列型の従来開発との対比で問われる。
  • シミュレーションは実物を作らずモデルで挙動を模擬検証する技術で、試作コストと開発期間を削減する。衝突解析・耐震解析などが典型例。
  • センシング技術はセンサで現実の物理量を計測してデータ化する基盤技術で、制御・シミュレーション・IoT の入力源となる。
  • 3技術はいずれも『量産前の設計・開発局面』を支える点が共通し、製品ライフサイクルでは生産フェーズの上流に位置する。

記憶フック一覧

  • コンカレントエンジニアリング: コンカレントエンジニアリングといえば設計・製造を並行化して開発期間を短縮
  • シミュレーション: シミュレーションといえば実物を作らずモデルで挙動を模擬検証
  • センシング技術: センシング技術といえばセンサで物理量を計測しデータ化

関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。