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生産管理の方式とシステム

標準約 18 分エンジニアリングシステム

概要

本ユニットでは、工場の製造・生産フェーズで使われる代表的な生産方式を学びます。必要な分だけ作るプル型のJIT・かんばん方式・リーン生産方式、需要計画から逆算するプッシュ型のMRP、多品種少量に対応するFMSの特徴と相互関係を整理します。生産管理はストラテジ系で頻出の分野です。

用語6

生産方式

製品をどのような考え方・手順で作るかを定めた生産の進め方の総称。

生産方式とは、製品をどのような考え方や仕組みで製造するかを表す上位の概念で、この後に学ぶJITやMRPなどはすべてこの一種です。大きく分けると、後工程の必要量に合わせて作る「プル型(引取り型)」と、需要予測や計画に基づき前もって作る「プッシュ型(押出し型)」があります。 試験では、JIT・かんばん・リーンがプル型、MRPがプッシュ型という分類や、それぞれの方式が何を重視するかが問われます。まずは「生産方式=作り方の枠組みの総称」と捉え、各方式を位置づけて整理することが理解の出発点になります。

たとえ料理の「作り置きスタイル」か「注文を受けてから作るスタイル」かといった、調理の進め方の方針そのもの。個々のレシピより上位の考え方にあたります。

記憶フック生産方式といえばプル型とプッシュ型を束ねる作り方の総称

生産方式

プル型 引取り型

プッシュ型 計画型

JIT

かんばん方式

リーン生産方式

MRP

JIT

必要なものを必要なときに必要なだけ生産・調達する方式。

JIT(ジャストインタイム)は、トヨタ生産方式の中心となる考え方で、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」作る・運ぶことで、在庫のムダを徹底的に減らす生産方式です。後工程が使った分だけ前工程が補充するプル型(引取り型)の代表例です。 在庫を抱えないため保管コストや作りすぎのムダを抑えられる一方、部品の供給が止まると生産全体が止まりやすいという弱点もあります。試験では、計画に基づいて前もって作るMRP(プッシュ型)との対比や、JITを現場で実現する手段がかんばん方式である点がよく問われます。

たとえ回転寿司で、なくなった皿の分だけ握りを追加するイメージ。先に大量に握っておかず、減った分を補充するので余りが出にくいです。

記憶フックJITといえば必要なものを必要なときに必要なだけ

かんばん方式

「かんばん」と呼ぶ指示票で後工程の必要量を前工程に伝える仕組み。

かんばん方式は、JITを工場の現場で実現するための具体的な仕組みです。「かんばん」と呼ばれる部品名や数量を書いた指示票(カード)を使い、後工程が使った分のかんばんを前工程へ戻すことで、「使われた分だけ作って補充する」流れを作ります。 これにより、必要な量だけが上流に伝わり、作りすぎや在庫のムダを防げます。試験では、かんばん方式がJITを支える情報伝達の手段であること、後工程が前工程に必要量を引き取りに行く「引取り型(プル型)」の仕組みである点が問われます。JITは考え方、かんばんはその実装手段、と区別しましょう。

たとえ冷蔵庫の在庫メモのようなもの。牛乳を使い切ったらメモを買い物リストに戻し、その分だけ買い足す。使った分の札を回すことで補充指示になります。

記憶フックかんばん方式といえばJITを実現する指示票の仕組み

リーン生産方式

あらゆるムダを排除し効率を高めることを目指す生産思想。

リーン生産方式は、トヨタ生産方式(JITやかんばんによるムダ排除の取り組み)を欧米で研究・体系化し、一般化した生産の考え方です。「リーン(lean)」は「ぜい肉のない・むだのない」という意味で、在庫・作りすぎ・手待ち・運搬などあらゆるムダを継続的に取り除き、価値を生む活動に絞ることを目指します。 JITやかんばんが具体的な仕組みであるのに対し、リーンはそれらを含むより広い生産思想・改善の枠組みです。試験では、ムダの排除を重視する方式であること、トヨタ生産方式を起源とする点が問われます。製造業以外の業務改善にも応用される考え方です。

たとえ家計の節約術全般のようなもの。特定の買い物術(かんばん)だけでなく、ムダな支出全体を見直して家計を引き締める、という幅広い方針にあたります。

記憶フックリーン生産方式といえばあらゆるムダの排除

MRP

生産計画から必要な資材の所要量と発注時期を逆算する手法。

MRP(資材所要量計画)は、製品の生産計画(いつ・何を・いくつ作るか)をもとに、必要な部品や材料の量を部品表(BOM)から計算し、いつ・どれだけ発注すればよいかを逆算して決める手法です。需要予測や計画に基づき前もって作る「プッシュ型(押出し型)」の代表例です。 計画的に資材を手配できる一方、計画と実需要がずれると在庫の過不足が起きやすい点が、必要な分だけ作るJIT(プル型)との大きな違いです。試験では、MRPがプッシュ型・計画起点であること、JITやかんばん(プル型・引取り型)との対比がよく問われます。

たとえイベントの計画から逆算して食材を一括発注するようなもの。「100人分のカレーを作る」と決めたら、必要なルウや肉の量と買う日を先に割り出します。

記憶フックMRPといえば計画から資材の所要量を逆算(プッシュ型)

生産計画

部品表 BOM

所要量の計算

発注時期と数量の決定

FMS

多品種少量生産に柔軟に対応する自動化された生産システム。

FMS(フレキシブル生産システム)は、NC工作機械や産業用ロボット、無人搬送車などをコンピュータで統合制御し、多品種少量生産に柔軟(flexible)に対応できるようにした自動化生産システムです。段取り替えを自動で行い、製品の種類が変わっても生産ラインを大きく組み替えずに対応できます。 少品種大量生産を前提とした従来の自動化ラインに対し、FMSは「種類の多さ・変更への柔軟さ」を重視する点が特徴です。試験では、FMSが多品種少量生産に対応する柔軟な自動化システムである、という定義そのものが問われます。

たとえ1台でコーヒーも紅茶もココアも作れる多機能ドリンクサーバーのようなもの。ボタンを変えるだけで違う飲み物を出せるよう、機械を組み替えずに対応します。

記憶フックFMSといえば多品種少量に対応する柔軟な自動化システム

まとめ

要点

  • 生産方式は、後工程の必要量に合わせて作る「プル型(JIT・かんばん・リーン)」と、計画に基づき前もって作る「プッシュ型(MRP)」に大別される。
  • JITは「必要なものを必要なときに必要なだけ」作る考え方で、それを現場で実現する手段がかんばん方式である。
  • リーン生産方式はトヨタ生産方式を体系化した、あらゆるムダの排除を目指す生産思想で、JIT・かんばんを含む広い枠組み。
  • MRPは生産計画と部品表から資材の所要量・発注時期を逆算するプッシュ型の手法で、引取り型のJITと対比される。
  • FMSは多品種少量生産に柔軟に対応する自動化生産システムである。

記憶フック一覧

  • 生産方式: 生産方式といえばプル型とプッシュ型を束ねる作り方の総称
  • JIT: JITといえば必要なものを必要なときに必要なだけ
  • かんばん方式: かんばん方式といえばJITを実現する指示票の仕組み
  • リーン生産方式: リーン生産方式といえばあらゆるムダの排除
  • MRP: MRPといえば計画から資材の所要量を逆算(プッシュ型)
  • FMS: FMSといえば多品種少量に対応する柔軟な自動化システム

関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。