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仮想化の活用とシステムの利用・運用形態

標準約 21 分システムの構成

概要

本ユニットでは、仮想化技術を活かした端末・基盤の構成(シンクライアント・VDI)や仮想環境の移行技術(マイグレーション・ライブマイグレーション)、さらに処理タイミングによる利用形態(対話型・リアルタイム・バッチ)を学びます。仮想化を「どう使い、どう運用するか」という応用面と、処理の特徴で形態を選ぶ視点は、IT パスポートで繰り返し問われる重要分野です。

用語7

シンクライアント

処理やデータをサーバ側に集約し、端末は入出力に特化させる構成。

シンクライアントは、端末(クライアント)に最小限の機能だけを持たせ、アプリの処理やデータ保存をサーバ側で行う仕組みです。「シン(thin=薄い)」は端末の機能が薄いことを表します。 端末内にデータが残らないため、紛失・盗難時の情報漏えいリスクが小さく、管理も一括化できるのが利点です。試験では、端末にデータを置かないことによるセキュリティ向上・運用管理の効率化という長所が問われます。逆に、ネットワークやサーバが止まると業務が止まる点が短所です。

たとえ店頭の券売機のようなもの。券売機自体は画面と入力だけを担い、料金計算や在庫管理は奥のサーバが行う。端末が薄くても裏の本部が賢ければ十分働けます。

記憶フックシンクライアントといえば端末は薄く処理はサーバ集約

VDI

サーバ上の仮想デスクトップを端末から操作するデスクトップ仮想化方式。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure、仮想デスクトップ基盤)は、サーバ側の仮想マシン上に各利用者のデスクトップ環境を用意し、端末からはその画面を遠隔操作する仕組みです。シンクライアントを実現する代表的な基盤として使われます。 試験では、シンクライアント(端末側の構成概念)と VDI(それを支えるサーバ側の仮想化基盤)の関係を区別できるかが問われます。デスクトップ環境をサーバ上で集中管理できるため、OS 更新やセキュリティ対策を一元化でき、どの端末からでも同じ環境を呼び出せる点が特徴です。

たとえ貸ロッカーに自分の作業机を丸ごと預けておくイメージ。どの受付窓口に行っても、同じ自分の机(デスクトップ)を呼び出して使えます。

記憶フックVDIといえばサーバ上の仮想デスクトップを端末から操作

画面転送

利用者端末

仮想化基盤サーバ

仮想デスクトップ1

仮想デスクトップ2

仮想デスクトップ3

マイグレーション

システムやデータを別の環境へ移行すること。

マイグレーション(migration)は、システム・データ・仮想マシンなどを、ある環境から別の環境へ移し替えることを指します。サーバ更改やクラウド移行、仮想マシンの別ホストへの移動などが該当します。 試験では「移行」という意味と、仮想化における仮想マシンの移動という文脈で出題されます。次に学ぶライブマイグレーションは、この移行を「稼働させたまま」行う発展形なので、まず移行という総称の意味を押さえておくことが重要です。

たとえ引っ越しのようなもの。家具(データやシステム)を今の家から新しい家へまるごと運ぶ作業がマイグレーションです。

記憶フックマイグレーションといえばシステムやデータの別環境への移行

ライブマイグレーション

仮想マシンを稼働させたまま別の物理サーバへ移す技術。

ライブマイグレーションは、仮想マシンを停止せずに動かしたまま、別の物理サーバへ移動させる技術です。利用者にサービスを止めずに、ハードの保守や負荷分散を行えます。 試験では、通常のマイグレーション(移行のために停止を伴うことがある)との違いとして、「無停止で移行できる」点がポイントです。仮想化ならではの可用性向上技術として、保守時もサービスを継続できる利点を理解しましょう。

たとえ営業中のお店を、客を追い出さずにそのまま隣のビルへ移すようなもの。お客さん(利用者)は移動に気づかず買い物を続けられます。

記憶フックライブマイグレーションといえば仮想マシンを無停止で別サーバへ移行

対話型処理

利用者の操作に対し、その都度即座に応答する処理形態。

対話型処理(インタラクティブ処理)は、利用者が入力するたびにシステムがすぐ応答を返す処理形態です。検索や文書編集、ATM 操作など、人とコンピュータがやり取りしながら進める使い方が該当します。 試験では、後でまとめて処理するバッチ処理との対比で問われます。即時のやり取りを重視する点が特徴で、利用者が結果を見ながら次の操作を決められるのが利点です。

たとえ店員との会話のようなもの。質問するとすぐ答えが返り、その答えを聞いて次を尋ねる。やり取りしながら進むのが対話型です。

記憶フック対話型処理といえば操作のたびに即応答するやり取り

リアルタイム処理

要求の発生に対し、定められた制限時間内に即座に処理する形態。

リアルタイム処理は、データや要求が発生したらすぐ、決められた制限時間内に処理を完了させる形態です。座席予約システムや製造ラインの制御、銀行のオンライン取引などで使われます。 試験では、対話型処理と似ていますが、リアルタイム処理は「即時性・応答時間の保証」が重視される点が問われます。バッチ処理(後でまとめて)とは対照的に、遅れが許されない処理に適用されます。

たとえ救急通報のようなもの。連絡が入ったら待たせず即対応しなければならない。遅れが許されない即時対応がリアルタイム処理です。

記憶フックリアルタイム処理といえば発生即時に制限時間内で応答

バッチ処理

一定量のデータをためて、まとめて一括処理する形態。

バッチ処理は、データをすぐには処理せず一定量ためておき、後で一括してまとめて処理する形態です。月末の給与計算や請求書の一括発行、夜間のデータ集計などが典型例です。 試験では、対話型・リアルタイム処理(即時応答)との対比で頻出します。即時性は低いものの、大量データを効率よくまとめて処理でき、夜間など負荷の低い時間に実行できる点が利点です。三つの処理形態の違いを整理して覚えましょう。

たとえ洗濯物をためてから一度に洗うようなもの。1 枚ずつ洗わず、まとまった量を一括で回した方が効率的、という発想がバッチ処理です。

記憶フックバッチ処理といえばためてまとめて一括処理

処理形態

対話型処理: 操作のたびに即応答

リアルタイム処理: 制限時間内に即時処理

バッチ処理: ためてまとめて一括処理

まとめ

要点

  • シンクライアントは端末を薄くし処理・データをサーバへ集約する構成で、情報漏えいリスク低減と一括管理が利点。
  • VDI はサーバ上の仮想デスクトップを端末から操作する基盤で、シンクライアントを実現する代表的手段。
  • マイグレーションは環境間の移行全般を指し、ライブマイグレーションは仮想マシンを無停止で別サーバへ移す発展技術。
  • 処理形態は対話型(都度即応答)・リアルタイム(制限時間内に即時)・バッチ(ためて一括)の三つに分かれ、即時性で対比される。
  • 仮想化の応用と処理形態の選択は、システムの利用・運用方法を決める実務的な視点である。

記憶フック一覧

  • シンクライアント: シンクライアントといえば端末は薄く処理はサーバ集約
  • VDI: VDIといえばサーバ上の仮想デスクトップを端末から操作
  • マイグレーション: マイグレーションといえばシステムやデータの別環境への移行
  • ライブマイグレーション: ライブマイグレーションといえば仮想マシンを無停止で別サーバへ移行
  • 対話型処理: 対話型処理といえば操作のたびに即応答するやり取り
  • リアルタイム処理: リアルタイム処理といえば発生即時に制限時間内で応答
  • バッチ処理: バッチ処理といえばためてまとめて一括処理

関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。