用語(8) HRM 人材を経営資源と捉え組織的に確保・育成・活用する人的資源管理。
HRM(Human Resource Management、人的資源管理)は、ヒト・モノ・カネ・情報という経営資源のうち「ヒト」を戦略的に管理・活用する考え方です。採用・配置・育成・評価・処遇・定着までを一貫して扱い、人材を単なるコストではなく価値を生む資源とみなします。
本ユニットの MBO・タレントマネジメント・DE&I などは、いずれも HRM という枠組みの中の具体的な施策にあたります。試験では、人を経営資源として活かす広い枠組みが HRM であり、その下に個別手法がぶら下がるという全体像を押さえておくことが重要です。
たとえ サッカーチームの監督が、選手の採用・育成・起用・モチベーション維持までを一手に担い、チーム力を最大化するようなもの。人をいかに活かすかの総合管理です。
記憶フック HRMといえばヒトを経営資源として活かす人的資源管理
MBO 従業員が自ら目標を設定し達成度で評価する目標による管理手法。
MBO(Management by Objectives、目標管理制度)は、従業員が上司と相談しながら自分の目標を設定し、その達成度をもとに評価・処遇する手法です。一方的に与えられるのではなく自ら目標を立てる点で、本人の納得感とやる気を高める狙いがあります。
人事評価の代表的な仕組みとして HRM の中でも頻出です。試験では、目標を上から押し付けるのではなく本人が参加して設定する点、達成度で評価する点が特徴として問われます。組織全体の目標と個人目標を結びつける役割も持ちます。
たとえ 学期の初めに生徒が自分で「次のテストで80点を取る」と目標を立て、学期末にその達成度で評価される仕組みのようなもの。自分で決めるから本気になれます。
記憶フック MBOといえば自ら目標を立て達成度で評価する目標管理
CDP 従業員の長期的なキャリア形成を計画的に支援する育成制度。
CDP(Career Development Program、キャリア開発計画)は、従業員一人ひとりの長期的なキャリアを見据え、計画的な配置転換・研修・育成を組み合わせて成長を支援する制度です。本人の希望と会社の人材ニーズをすり合わせながら、数年単位でキャリアを設計します。
短期の目標達成を扱う MBO に対し、CDP はより長期のキャリア形成を扱う点が違いです。試験では、場当たり的でなく計画的・長期的に人材を育てる仕組みであることが問われます。
たとえ 新入社員に対し「3年で営業、その後5年で企画、将来は管理職へ」といった長期の成長ルートを描いて育てる、人生設計の会社版のようなものです。
記憶フック CDPといえば長期のキャリア形成を計画的に支援する制度
リスキリング 新しい職務に必要な能力を習得し直す学び直しの取組み。
リスキリング(reskilling)は、技術革新や事業変化に対応するため、従業員が新しい職務に必要なスキルを習得し直すことです。特に DX(デジタル変革)に伴い、既存社員がデジタル分野の能力を身につける文脈で重視されています。
似た言葉のリカレント教育(個人主体の学び直し)に対し、リスキリングは企業が主体となって従業員を新しい役割に対応させる点が特徴です。試験では、変化に対応するための「学び直し」という現代的な人材施策として意味を押さえておくことが重要です。
たとえ 長年フィルムカメラを売っていた店員が、デジタル時代に合わせてスマホやアプリの知識を学び直し、新しい仕事に対応できるようになるイメージです。
記憶フック リスキリングといえば新職務に向けた能力の学び直し
HRテック AI・クラウド等のITを人事業務に活用する技術・サービス。
HRテック(HR Tech)は、HR(人事)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉で、AI・クラウド・ビッグデータなどのITを採用・評価・育成・労務管理といった人事業務に活用する技術やサービスを指します。
例えば応募者をAIで選考したり、勤怠や人材データをクラウドで一元管理したりします。HRM の各施策を IT で効率化・高度化する手段にあたります。試験では、人事領域に IT を取り入れた仕組みであるという基本的な意味が問われます。
たとえ 手作業だった家計簿を家計簿アプリに置き換えるように、紙やExcelで行っていた人事の作業をITの仕組みに任せて効率化するイメージです。
記憶フック HRテックといえば人事業務にITを活用する技術
タレントマネジメント 優秀な人材を見いだし戦略的に育成・配置・活用する管理手法。
タレントマネジメントは、従業員の能力・経験・適性などの情報を把握し、優秀な人材(タレント)を戦略的に育成・配置・活用する HRM の手法です。「適材適所」を実現し、組織の成果を最大化することを狙います。
HRテックで集めた人材データを活用して行われることも多く、HRM の応用的な施策にあたります。試験では、人材を埋もれさせず能力に応じて最適に活かす取組みであることが問われます。次のリテンション(定着)とあわせ、人材を活かし留める文脈で押さえましょう。
たとえ オーケストラの指揮者が、各奏者の得意な楽器や実力を把握し、最も力を発揮できるパートに配置して全体の演奏を最高にするようなものです。
記憶フック タレントマネジメントといえば優秀人材を戦略的に活かす管理
リテンション 優秀な人材の離職を防ぎ組織に定着させる維持の取組み。
リテンション(retention)は「維持・保持」の意味で、人材分野では優秀な従業員が辞めないよう働きかけ、組織に定着させる取組みを指します。処遇の改善、働きやすい環境づくり、やりがいの提供などが手段になります。
採用・育成にかけたコストを無駄にせず、人材流出による損失を防ぐ点で重要です。試験では、新しく採るのではなく今いる人材を「留める」施策である点が、タレントマネジメントと並んで問われます。
たとえ せっかく育てた常連客が他店に流れないよう、ポイント特典や居心地のよい雰囲気で「また来たい」と思わせ、つなぎとめる工夫に似ています。
記憶フック リテンションといえば優秀人材を定着させる維持の取組み
DE&I 多様性・公平性・包摂を尊重し人材を活かす組織方針。
DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)は、多様性(Diversity)・公平性(Equity)・包摂(Inclusion)を重視する考え方です。性別・年齢・国籍・障がいの有無などの多様な人材を受け入れ(多様性)、一人ひとりに合った公平な機会を保障し(公平性)、誰もが活躍できるよう組織に溶け込ませる(包摂)ことを目指します。
多様な人材を活かす HRM の前提となる組織方針です。試験では、3つの語の意味と、多様な人材が能力を発揮できる環境づくりを目指す方針である点が問われます。従来のダイバーシティに公平性・包摂を加えた発展概念として押さえましょう。
たとえ いろいろな国の料理人が集まる厨房で、それぞれの得意料理を尊重し(多様性)、必要な調理器具をそれぞれに合わせて用意し(公平性)、全員がチームの一員として働ける(包摂)状態をつくるイメージです。
記憶フック DE&Iといえば多様性・公平性・包摂を尊重する組織方針