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契約形態と消費者取引法規

標準約 18 分労働関連・取引関連法規

概要

本ユニットでは、IT現場の業務委託で問われる「委任・準委任・雇用」の3つの契約形態と、消費者・利用者を守る身近な取引法規(特定商取引法・デジタルプラットフォーム透明化法・景品表示法)を学びます。契約3形態は頻出分野のため、それぞれの違いを正確に押さえることが重要です。

用語6

委任契約

法律行為などの事務処理を相手に委ねる契約で、仕事の完成は約束しない契約。

委任契約は、当事者の一方が「事務処理(仕事)を行うこと」そのものを引き受ける契約です。本来は契約締結など法律行為を委ねる場合を指し、受任者は善管注意義務(専門家として注意を払って業務にあたる義務)を負いますが、成果物の完成までは約束しません。 試験で重要なのは「請負契約」との違いです。請負が仕事の完成と結果に責任を負うのに対し、委任は適切に業務を遂行することに責任を負います。また委任は当事者間に指揮命令関係がない(対等)点が、雇用契約との違いになります。IT分野では、システムの運用・保守やコンサルティングなど、結果ではなく業務遂行を委ねる場面で用いられます。

たとえ病院に診察を頼むようなもの。医師は最善を尽くして診てくれますが「必ず治す」という結果までは約束しません。やり方を細かく指図されることもない関係です。

記憶フック委任契約といえば仕事の遂行を委ねるが完成は約束しない

契約3形態

委任契約

準委任契約

雇用契約

法律行為を委ねる

事実行為を委ねる

指揮命令下で労務提供

準委任契約

法律行為以外の事務(事実行為)の処理を委ねる契約で、委任の規定を準用する契約。

準委任契約は、委任契約のうち「法律行為以外の事務(事実行為)」を委ねる契約で、委任契約の規定がそのまま準用されます。委任と同じく仕事の完成は約束せず、受任者は善管注意義務を負って業務を遂行します。 IT現場では非常に重要な契約形態で、システムの設計支援・運用・保守・SES(技術者の労働力提供)など、成果物の完成ではなく業務の遂行そのものを委ねる場合に使われます。試験では、完成責任を負う「請負契約」との違い、そして委任が法律行為を扱うのに対し準委任は事実行為を扱うという区別が問われます。なお近年は「成果完成型」の準委任も認められています。

たとえ家庭教師に勉強を見てもらうようなもの。指導を丁寧に行ってくれますが「必ず合格させる」という成果までは約束せず、教える業務そのものを引き受けています。

記憶フック準委任契約といえば事実行為の遂行を委ねるIT業務委託の定番

雇用契約

労働者が使用者の指揮命令下で労務を提供し、対価として賃金を受け取る契約。

雇用契約は、労働者が使用者(会社)の指揮命令に従って労働を提供し、その対価として賃金を受け取る契約です。労働基準法などの労働関連法規が適用され、労働時間や賃金などが保護されます。 委任・準委任との最大の違いは「指揮命令関係」の有無です。雇用では使用者が労働者に対して仕事の進め方を指示できますが、委任・準委任では当事者は対等で指揮命令を受けません。試験では、自社の従業員として直接指示を出して働いてもらうのが雇用、外部に業務を委ねるのが委任・準委任、という対比が問われます。なお、発注者が委任・準委任の技術者へ直接指揮命令を行うと偽装請負として問題になる点も押さえましょう。

たとえ会社の正社員として働くようなもの。上司の指示に従って業務を行い、その見返りに毎月の給料を受け取る関係です。働き方を会社から指図される点が特徴です。

記憶フック雇用契約といえば指揮命令下で労務を提供し賃金を受ける

特定商取引法

訪問販売・通信販売などトラブルが生じやすい取引から消費者を守る法律。

特定商取引法は、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引(マルチ商法)など、消費者トラブルが起こりやすい特定の取引類型を対象に、事業者が守るべきルールを定めて消費者を保護する法律です。 代表的な仕組みが「クーリングオフ」で、訪問販売などで契約しても一定期間内なら無条件で契約を解除できます。ほかにも、事業者名や契約内容を明示する義務、誇大広告の禁止などが定められています。試験では、ネット通販を含む身近な取引で消費者を守る法律であること、クーリングオフ制度との結びつきが問われます。

たとえ強引なセールスや怪しい通販から消費者を守る「クーリングオフという安全装置付きの取引ルールブック」のようなもの。買ったあとでも一定期間は契約を解除できます。

記憶フック特定商取引法といえば訪問販売・通信販売とクーリングオフ

消費者を守る取引法規

特定商取引法

デジタルプラットフォーム透明化法

景品表示法

訪問販売・通信販売など

巨大ネット取引の場の公正性

不当表示・過大景品の防止

特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律

巨大なデジタルプラットフォームに取引条件の開示などを求め公正性を高める法律。

この法律(通称:デジタルプラットフォーム透明性・公正性確保法、透明化法)は、オンラインモールやアプリストアなど大規模なデジタルプラットフォームを運営する事業者に対し、出店者などへの取引条件の開示や、運営の透明性・公正性の確保を求める法律です。 背景には、巨大プラットフォームと、そこに出店・出品する中小事業者との力関係の不均衡があります。一方的な規約変更や不利な扱いを防ぎ、健全な取引環境を保つことが目的です。試験では、巨大IT企業のプラットフォーム取引を対象に「透明性・公正性」を求める比較的新しい法律であることを押さえれば十分です。

たとえ大きなショッピングモールの運営者に「出店者へ家賃やルールをきちんと説明し、急な変更で不当に困らせない」ことを義務づける約束事のようなものです。

記憶フックデジタルプラットフォーム透明化法といえば巨大ネット取引の場の透明性・公正性

景品表示法

不当な表示や過大な景品から消費者を守り適正な選択を保障する法律。

景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)は、商品やサービスの品質・価格について消費者を誤認させる「不当表示」と、過大な「景品(おまけ)」による不当な顧客誘引を規制し、消費者が適正に商品を選べるようにする法律です。 不当表示には、実際より著しく優良に見せる「優良誤認表示」や、実際より著しく有利に見せる「有利誤認表示」があります。試験では、誇大広告や「No.1」などの根拠のない表示、過大なおまけを規制する法律であること、消費者の適正な選択を守る目的が問われます。

たとえ「効果絶大!」「業界No.1!」といった根拠のない宣伝文句や、豪華すぎるおまけで客を釣る行為に審判を入れ、消費者が中身で選べるようにするルールです。

記憶フック景品表示法といえば不当表示と過大景品を防いで適正選択を守る

まとめ

要点

  • 委任・準委任は仕事の遂行を委ねる契約で完成責任を負わない点が、完成責任を負う請負契約との違い。委任は法律行為、準委任は事実行為(IT現場の運用・保守・SESで多用)を扱う。
  • 雇用契約は使用者の指揮命令下で労務を提供し賃金を得る契約で、当事者が対等な委任・準委任との最大の違いは指揮命令関係の有無。
  • 特定商取引法は訪問販売・通信販売など消費者トラブルが起きやすい取引を規制し、クーリングオフ制度で一定期間内の無条件解除を認める。
  • デジタルプラットフォーム透明化法は、巨大なオンラインモールやアプリストアに取引条件の開示など透明性・公正性を求める法律。
  • 景品表示法は不当表示(優良誤認・有利誤認)と過大な景品を規制し、消費者が適正に商品を選べるよう保護する。

記憶フック一覧

  • 委任契約: 委任契約といえば仕事の遂行を委ねるが完成は約束しない
  • 準委任契約: 準委任契約といえば事実行為の遂行を委ねるIT業務委託の定番
  • 雇用契約: 雇用契約といえば指揮命令下で労務を提供し賃金を受ける
  • 特定商取引法: 特定商取引法といえば訪問販売・通信販売とクーリングオフ
  • 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律: デジタルプラットフォーム透明化法といえば巨大ネット取引の場の透明性・公正性
  • 景品表示法: 景品表示法といえば不当表示と過大景品を防いで適正選択を守る

関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。