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音声のデジタル表現とファイル形式

低頻約 16 分マルチメディア技術

概要

本ユニットでは、音声をコンピュータで扱うためのデジタル化方式(波形を符号化するPCMと、演奏情報を記述するMIDI)と、代表的な音声ファイル形式(無圧縮のWAV、非可逆圧縮のMP3・AAC)を学びます。マルチメディアの中では低頻度ですが、圧縮の可逆・非可逆の違いと各形式の特徴は出題されます。

用語5

PCM

アナログ音声を標本化・量子化・符号化でデジタル化する基本方式。

PCM(パルス符号変調)は、連続的なアナログ音声の波形を一定間隔で測って数値に置き換える、最も基本的なデジタル化方式です。手順は『標本化(一定間隔で波の高さを取る)→量子化(その高さを段階値に丸める)→符号化(段階値を0と1のビット列にする)』の3段階で進みます。 標本化の回数を増やすほど、また量子化の段階を細かくするほど、元の音に近い高音質になりますが、データ量は大きくなります。試験では、この3段階の順序や、波形そのものを記録する方式である点(演奏情報を記述するMIDIとの違い)が問われます。CDの音声もPCMで記録されています。

たとえなだらかな坂道(アナログ波形)を、等間隔の階段(標本化・量子化)に置き換えて段数を数値で記録するようなもの。段を細かくするほど元の坂に近づきます。

記憶フックPCMといえば標本化・量子化・符号化で波形をデジタル化

アナログ音声

標本化

量子化

符号化

デジタルデータ

MIDI

波形でなく演奏情報を記述する電子楽器の音声規格。

MIDIは、音そのものの波形を記録するのではなく、『どの音を・いつ・どの強さで・どの楽器で鳴らすか』という演奏情報(命令)を記述する規格です。電子楽器(シンセサイザーなど)やパソコンが演奏データをやり取りするための共通ルールとして使われます。 波形を持たず命令だけなので、PCMに比べてデータ量が非常に小さいのが特徴ですが、実際に鳴る音は再生する音源(楽器)によって変わります。試験では、PCM(波形を記録)とMIDI(演奏情報を記述)の対比が頻出で、『MIDIは楽譜のような演奏指示』とイメージできることがポイントです。

たとえ歌そのものの録音ではなく、『この音符をこの強さで』と書いた楽譜を渡すようなもの。演奏する人(音源)が変われば、同じ楽譜でも響きが変わります。

記憶フックMIDIといえば波形でなく演奏情報を記述する楽譜のような規格

WAV

音声を無圧縮(主にPCM)で格納する代表的な音声ファイル形式。

WAVは、PCMでデジタル化した音声をそのまま圧縮せずに格納する、Windows標準の音声ファイル形式です。圧縮しないため音質の劣化がなく、編集にも向きますが、その分ファイルサイズは大きくなります。 試験では、WAV=無圧縮で高音質だが大容量、MP3やAAC=圧縮で小容量という対比が問われます。音声形式を『無圧縮(WAV)』と『非可逆圧縮(MP3・AAC)』に大別して整理しておくと、形式ごとの特徴を取り違えずに済みます。

たとえ撮った写真を一切縮めずにそのまま保存するようなもの。画質は最高のまま保てますが、保存場所(容量)をたくさん使います。

記憶フックWAVといえば無圧縮・高音質・大容量の音声形式

音声ファイル形式

無圧縮

非可逆圧縮

WAV

MP3

AAC

MP3

人間に聞こえにくい音を削る代表的な非可逆圧縮音声形式。

MP3は、人間の耳に聞こえにくい音(他の大きな音に隠れる音など)を削ることでデータ量を大きく減らす、非可逆圧縮の代表的な音声形式です。WAVに比べてファイルサイズを大幅に小さくでき、音楽配信や携帯音楽プレーヤーで広く普及しました。 非可逆圧縮なので、一度圧縮すると削られた情報は元に戻せず、圧縮を強めるほど音質は劣化します。試験では、WAV(無圧縮)との容量・音質の違いや、『非可逆=元に戻せない』という性質、後継のAACとの位置づけが問われます。

たとえ大きな荷物から、なくても困らない物を抜いて軽くするようなもの。持ち運びは楽になりますが、抜いた物は二度と戻ってきません。

記憶フックMP3といえば聞こえにくい音を削る非可逆圧縮の定番

AAC

MP3の後継として高音質化を図った非可逆圧縮音声形式。

AACは、MP3の後継として開発された非可逆圧縮の音声形式で、同じファイルサイズならMP3より高音質になりやすいのが特徴です。音楽配信サービスやスマートフォン、動画の音声などで広く使われています。 MP3と同じく非可逆圧縮なので、削った情報は元に戻せません。試験では、MP3とAACがともに非可逆圧縮であること、AACがMP3の後継・改良形式という位置づけであることを押さえておけば十分です。無圧縮のWAVと混同しないことが大切です。

たとえ荷物を軽くする道具を新しく改良したようなもの。同じ重さに抑えても、古い道具(MP3)より中身を上手に残せます。

記憶フックAACといえばMP3後継で同容量なら高音質な非可逆圧縮

まとめ

要点

  • 音声のデジタル化方式には、波形を記録するPCMと、演奏情報を記述するMIDIの2つがある。
  • PCMは『標本化→量子化→符号化』の3段階で行い、細かくするほど高音質だがデータ量は増える。
  • 音声ファイル形式は、無圧縮のWAVと、非可逆圧縮のMP3・AACに大別できる。
  • WAVは無圧縮で高音質だが大容量、MP3・AACは圧縮で小容量だが元に戻せない(非可逆)。
  • AACはMP3の後継で、同じ容量ならより高音質になりやすい。

記憶フック一覧

  • PCM: PCMといえば標本化・量子化・符号化で波形をデジタル化
  • MIDI: MIDIといえば波形でなく演奏情報を記述する楽譜のような規格
  • WAV: WAVといえば無圧縮・高音質・大容量の音声形式
  • MP3: MP3といえば聞こえにくい音を削る非可逆圧縮の定番
  • AAC: AACといえばMP3後継で同容量なら高音質な非可逆圧縮

関連の過去問演習は今後のアップデートで追加予定です。